究極の理由:トランプ米大統領はなぜ生まれたか

これを書いてるのは、2020年11月3日のアメリカ大統領選挙の3日後、11月6日金曜日です。

現時点では、民主党のバイデン元副大統領が勝つ可能性が極めて高くなり、トランプ現大統領敗北が濃厚になってきました。

4年前の大統領選挙でまさかのトランプ当選となった時、私はワシントンDCにいて、トランプ大統領下のアメリカの盛衰をみることになりました。

それから4年、トランプ大統領はきわめて異例な大統領でした。不動産で巨万の財産を築いた父の後を継ぎ、世界中にトランプタワーを建設する傍ら、テレビのバラエティー番組にも盛んに出演しアメリカのセレブリティーでした。そんな彼が2015年に大統領への立候補を表明し、最初は泡まつ候補でしたが、そのうち共和党予備選を勝ち取り、最終的には本命とされていたヒラリークリントンを破って当選しました。

大統領になってからも、数えきれないほどのスキャンダルや下院での弾劾を経ても政治生命を絶たれることはありませんでした。虚言や事実に基づかない言動が日常的になり、メディアは常に「ファクトチェック」することになりました。

そもそも、なぜドナルド・トランプが大統領になったのでしょうか。

最も根本的な要因を一つだけ挙げるとすれば、それは「教育」だと私は思います。

(その他、アメリカの特殊な選挙制度や2016年大統領選の特殊事情やクリントン候補のスキャンダルなど色々あったのですが。)

アメリカでは、私立学校や教育に熱心な学区の公立学校では世界最高レベルの教育が受けられます。しかし、社会格差が大きく、公立学校の教師が薄給であることから、低所得層や貧困層の子供達にとっては、親が余程努力しない限り、残念ながら「最高」とはおよそ言い難い教育環境になります。

アメリカではハイスクールまでが義務教育ですが、ハイスクールを修了できない生徒も少なくありません。ハイスクールを修了できなかったり大学にも行けない場合、アメリカではあまり良い将来は期待できず、ブルーカラーや不安定な職種につきます。

トランプ大統領を根強く支持しているのは主にそういう人たちです。社会でエリートに侮蔑され日の目を見なかった彼らが、トランプに拠り所を求めたのです。

残念ながら、彼らの多くは満足な教育がなく、複雑な文章を理解したり人の話を聞いて批判的に考えるといったことが出来ないのです。これは公教育に根差した問題です。

ですので、トランプ支持者の台頭は、アメリカという国が社会格差や公教育の問題を放置し続けてきた結果でもあるのです。

このように、色々な意味で分断されたアメリカですが、次期大統領には、社会で不遇にあっている人を癒し、より良い統治を期待したいです。