外国からの資本は悪いこと? 実は外国企業の助けで大きく躍進したシャープ

先日、私が毎週続けているFacebookライブで、シャープが、実は数年前から台湾企業の傘下にあり、台湾企業に助けられる形で経営を再建したり、ホットクックなどのヒット商品を産み出しているというお話しをしました。

ライブを視聴された方から「シャープが外国企業の支配下にあることにとても驚いた」という反応がありましたので、今回、メルマガでもこのお話しをしたいと思います。

現在は世界全体がグローバル化され、ほとんどの国は、外国からお金を稼いで経済を発展させています。

日本は江戸時代のころは鎖国していましたが、当時は人口がせいぜい3000万人くらいで、一般庶民の栄養状態はあまり良くなく、平均寿命も当然ながら今よりもずっと短かったのです。明治の開国後、外国からお金を稼いで経済を発展させ、日本は豊かになり、日本人の生活水準も格段に上がりました。

特に、1960年代の高度経済成長の頃から工業品などのモノを作って輸出しお金を稼いできました。今でも、日本は、輸出のほか、日本が海外に持つ金融資産からの投資収益で多額のお金を稼いでいます。

他方、日本がまだまだ「鎖国」のような状態にあるのは資本の面です。外国からの資本というのは何かと言いますと、外国と日本企業がし株式を持ち合うことによって成立する資本提携や、買収などです。

日本は、第二次大戦の直後、外国からの資本を厳しく制限し規制する形で国内企業を守り発展させてきました。そして、現在はその規制はかなり緩くなりましたが、今でもあります。

日本は、他の先進国に比べて、外国資本をあまり受け入れていません。外国からの資本をどれくらい受け入れているかを示す統計として、対内直接投資という経済統計があります。 例えば、2019年の対内直接投資をみると、イギリスはGDP比70%、アメリカは44%、ドイツとフランスは30%前後、韓国は12%、そして日本は4%です。このように、日本の外資の受け入れは非常に低いです。

では、外資の受け入れ、つまり、外国企業による買収や資本提携は悪いことでしょうか。外国企業による買収や資本提携は外国人に支配されるというイメージを持たれがちです。日本の有力政治家などは、外国からの資本を積極的に取り入れることに反対の立場を取っている人が多いようです。

異なる企業の二つの企業がパートナー関係を結ぶというのは簡単ではないかもしれません(日産とルノーのように)。しかし、メリットとしては、新しい価値観やアイディアを経営に取り入れられたり、経営陣が競争にさらされたり、経営がもっと効率的になることもあります。

冒頭のシャープの台湾企業による買収は、外国資本の導入が成功をもたらした格好の例です。

2016年4月に、その当時経営が悪くなっていたシャープが、台湾企業の鴻海(ホンハイ)に買収されてシャープが鴻海の傘下に入り、台湾企業に支配されるようになりました。

そこで実現したのはスピード感やリーダーシップのある台湾人の新社長による社内改革です。2016年の第4四半期にはシャープは黒字化し、今ではシャープホットクックなどの多様な製品を製造しています

他にも、世界中を見ると、外資の導入が成功や繁栄をもたらした例は数多くあります。

日本がこれから経済を発展させポテンシャルを開花させてゆくためには、外資とうまく付き合ってゆくということが大きなカギになると思います。