大人しい日本人が、堂々と自己主張できるなグローバル人になるには

先日、育児中の女性から、「日本で育つ日本人が堂々と自分の意見を述べるようになれるにはどうしたらいいのか」という質問をいただきました。その質問の背景にあったのは、日本の従来の教育や文化では、あまり自己主張し堂々と自説を述べるということが身につきにくいので、これから子育てをするにあたってどうすれば良いか、という疑問でした。

私も日本で普通に日本人として育ち、ツギハギだらけの自己肯定感のまま、アメリカに留学したりワシントンDCのIMFで働くことになりました。 大人しくしているのではなく、堂々と意見を述べるようになるというのは、日本を出てから常に私の課題でした。日本を出てから13年経ち、今では以前よりもずっと出来るようにはなりましたが。

では、どうすれば、堂々と自分の意見を主張できるようになるのでしょうか。

私の国際機関で働いたりグローバルな経験から、アサーティブであることと自己肯定感を持つという2つのことが決定的に重要になると思います。

1.アサーティブでいること

アサーティブであるとは、臆せずに堂々と自分の意見を言えるということです。自分とは異なる意見の人に遭遇した時、自分の立場が弱くなりそうな時に、自分の立場を守るために堂々と主張することです。

例えば私が外国に行く前、日本の財務省や内閣府で働いていた時、高圧的な上司からパワハラされたことがありますした。当時はそれが普通と思って耐えていましたが、その時にもっとアサーティブに主張していれば、私自身があまりストレスを感じずに過ごせたのではないかと思います。

国際機関で働き始めてから、はさすがに大人しくしているばかりでは競争に勝てないですし、 自分を守るためにアサーティブに主張するようになりました。最初は、マインドコントロールのように自己暗示をかけて、次第に「アサーティブな人」を演じられるようになり、やがては、もっと自然にできるようになりました。

2.自己肯定感

自己肯定感とは自分の存在を肯定的に受け止められる感覚で、自己肯定感を高く持つ人はより積極的に自分の考え方を堂々と証明できるようになると思います。 

私が育ったのは非常に田舎の伝統的な学校教育でしたので、 協調性ですとか、権威に従うことを良しとするという価値観で育ちました。そうしますと、 自己肯定感を育めないまま成長しました。思春期を過ぎてから自分に自信のないことに気づき、 勉強や仕事を謙虚に頑張るようになったので、その過程で自己肯定感が高まってゆき、最初の段階で自己肯定感が低かったのも悪いものではなかったのですが。 

アメリカ人の同僚やクラスメイトなどに接して感じたのは、アメリカの教育のように個人主義や自己肯定感を育むような価値観で育てられると、 自然に自己肯定感が持てて堂々と自己主張できるのだということでした。新鮮でうらやましく思ったものです。


ただ、いくら自己肯定感を持ってアサーティブに主張していても、 中身のあることを主張できなければその意見はいずれ無視されてしまうかもしれません。ですので、日頃から情報収集をしたり自分で物事を筋道立てて考えられるといった能力は不可欠です。